北源会25周年企画第二弾

釣り吉アマゴは今日も行く

文章 相馬 良

挨拶

北関東源流会のHPをご覧頂いている皆様へ
今回、私 相馬 良 通称「釣り吉アマゴ」現(アニマル相馬)が始めて遡行記事を書く事になりました。
不慣れでは御座いますが、どうぞ読んでやってくだされ!
それでは、釣り吉アマゴの釣りの旅をご紹介しましょう。

◆残された五人
毎度お馴染みの渓にやってきた。僕はこれが8回目である。
今回の参加者は全部で9人。
前日に皆で釣りに行き、まずまずの釣果を上げ、夜は山小屋で宴会。今朝も皆で美味しい朝ごはんを完食。(特にイワナの出汁が効いた味噌汁は最高に旨かったぁ!)
人数が多いと山小屋は多少狭いけど、賑やかで何事も楽しさ倍増ですね!

各自の都合もあり、前半組とは今日でお別れ。
「またね~。気をつけて~!」
少しテンション下がる残された5人。
あ~帰ってしまった。やはり山では人が恋しい。
共に過ごす仲間は沢山いた方が楽しいなぁ。

一人渓へ

朝ごはんの片付けが済んで、一休み。
今日は秋のような涼しい風が吹いている。
さて、お許しが出たので釣り吉は一人渓へ行くことにした。
『実川で初の一人釣行、行くぜ!……、』
と飛び出して行ったものの山小屋を出てすぐ、一人はとても心細い事に気付く。
ワクワク、ドキドキ、ハラハラ、ビクビク…どうしよう。
まず、川に降りる道がわからない。いつも先輩の後に付いていくばかりだから、こうなるんだなぁ。反省。
先輩の明さんより言われたアドバイスを思い出した。「この川は、降り口を間違えるとゴルジュ帯に吸い込まれるから気を付けてルートを探れよ」と言うものの降りるルートがわからない。
『しょうがない…テキトウに下りよう。』川の流れの音がする方へひたすら向かった。
草木につかまり、必死にルートを探す。すると、渓まで比較的なだらかなルートが現れた。
「ララッキー」これで渓に降りられる。「ああ奇跡だ神様ありがとうございます。」
無事、渓に降り立ち早速竿を出してみた。
ん~、釣れない。……釣れない。…………やっぱり釣れない。どこをやっても釣れないぞ。
あ、魚がいる。いるにはいるのだ。…腕の問題か。おかしいなぁ(笑)

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ぴよぴよぴよ…♪

「うーん下手くそ!」
自分自身に腹が立った。
13時までに戻る約束だし、そろそろ帰ろう。惜しみつつ竿をしまい、近場の崖を闇雲に登ってなんとか林道へ。全身汗まみれ!いつもながら、キツイ登りだ。
(なんか変な所から出てきちゃったぁ!まあ良しとするか。)
で、山小屋に着いたのは12:50分!さすが俺。(時計持たずに)
そしてみんなに潔く釣果を報告。『うぇーん、釣れなかったぜぃ(>_<)』
皆様、慰めていただきありがとうございます。残念すぎる(--;)

いい予感

ひとまず、ごはんを食べる。昼飯は待ちに待ったラーメン♪。山でのラーメンは格別に美味い!釣り吉はただ食べるのみ。皆さん申し訳ありませんm(_ _)m 何時も作っていただいて、恐縮です。
片付けを終え、今日は釣れないし、山小屋生活でもゆっくり満喫するかなぁとウトウトし始めたその時、遡行メンバーのリーダー、ちょび髭先生(栄司さん)が動き出した。
いつもはあまり乗り気でない風のちょび髭先生がさっさと遡行の準備を始め、「休んでないで、おら行くよ~!ザイルも持ってくよ~」と一言。
(え、先生にしては珍しいな。ちょっと疲れているけど、行くって言うし。これはなんかいい予感がする。)
『承知しましたぁ。すぐ用意します!』
[40秒で支度しなぁ!(笑)(byジブリ)] 的なノリでチャッチャと準備完了!で、いざ出陣!


山小屋を出ると山林への入口で、湯ノ島小屋の番頭さんこと相場先輩とすれ違った。
『行ってきま~す。今度は釣ってきまーす!』
「気をつけて行ってくるんだよ!火焚いて待ってっからぁ!」
『はーい!』
そうこうしているうちにちょび髭先生、いいや栄司さんに置いてかれる。(^^;
あれ、どっちだ・・・(あ、いたいた!待ってくださーい)

二人で渓へ向けて歩いていく。林道から大日岳への登山道に入り、ちょっと行った所で道から逸れて渓方向へ向かって下っていく。(うん~この道は初めてだなぁ)
結構急斜面と言うか崖じゃないですか!
前日と午前中の疲れからか、足がからまりやっとの思いで川まで降りると早速アブちゃんの大群に襲われはじめた。
(これが千葉さんが襲われ、ボコボコにされた原因のアブ達かぁ。いくら振り払っても纏わりついてくる。助けてけろ~。)
川原に出て川づたいに、せっせと歩き(丹羽さんみたいに上手く歩けないっす↓)、対岸に渡って少し歩いた所で「そこの流れのところ、やってごらん!」
栄司さんの一声でいよいよ釣り開始!いつもながら栄司さんには感謝します。釣りのポイントを教えていただき先にやらしてくれる。その余裕に惚れました。「源流会バンザイ」

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大岩魚を手にして

アブの大群にされるがままになりながら仕掛けをセットし、気合を入れて大淵に餌を投げ込む(相馬流、大物狙いミミズ3本掛け)、いざ勝負!!

一投目、うん~ちょっと違う流れに乗せちゃったな。これじゃ先生にも叱られるぅ(>_<)。
二投目、よし!今度は思ったところにいったぞ。なんかきそうだな。あの辺り…、そう、そこらへん……。
……お、きたきた。……あんまり引かないなぁ。どうしようかなぁ。いつ合わせるか。
(明さ~ん、いつ合わせたらいい(笑)?)いつも明さんに合わせのタイミングを聞いている自分は、合わせのタイミングをつかんでなかった。そういえばいつも早いと怒られていた。
明さんが「イワナは、向う合わせでいいんだ!餌を食べたら自分の棲家に戻るからその時合わせてな!」と何時も言っていたことを思い出した。
ビンっ、ビンビン!…うん~そろそろいいかなぁ。(^^;
ビクンビクン!!うん~もういいんでない?この辺でいっちゃうかな!……(笑)、
グーン、グーーン!…よし、いまだ!勢いよく竿を振り上げる。おりゃりゃぁ!どうだー! 
……っぐ、グングングングン…お、乗ってる乗ってる!絶対逃がすかぁぁ。
「きたね!ゆっくりでいいよー。竿立ててー」
栄司さんの指導のもと、イワナと格闘する。糸がピーンと張り、竿は手元からしなっている。「うんードデカイ」感じ足が震え唇が乾く・・・
数分後、最後まで抵抗するイワナちゃんはとても大きかった!
最後は栄司さんの手によって陸上げ完了。
『なんかでかいんじゃない!?』
嬉しさがこみ上げてきた。

今まで手にしたどのイワナよりも大きくて逞しい、野生的な魚体だった。
目標にして来た40㎝オオバーが今この手に「嬉しい」

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先輩方の熱い洗礼

ルンルン気分で山小屋に帰ると、みんながお出迎え。
『ありがとうございまーす!やっと釣りました!』
先輩方が声を揃えて「よかったなぁ!さすがつり吉アマゴ」と褒めてくれました。
喜びもつかの間、「さっき大きめの放しときましたからね~お客さん。(笑)」と番頭の相場さんが微笑んでいる。すると後ろの方からも「大イワナ釣りツアーは別料金ですからね。(笑)」とちょび髭先生が。
みんなの笑顔と笑い声が山小屋中にいや森全体に響き渡った。

山窩四彩

一緒に喜んでくれる友がいるからこそ釣りは楽しいんだなぁ。
それにやはり人は一人では生きていけないのだなぁ。特に大自然の中では。
だからこそ、仲間あっての山窩四彩なんだなと僕は思った。(先日学びました)
北関東源流会の目的の一つ「山窩四彩」閉ざされた山の中で季節ごとに自然を楽しむという意味です。皆さん、いつも迷惑かけて、ばかりですみません。
釣り吉も少しずつ、先輩達のような山の男を目指していこう!と思った瞬間でした。
また、山の神様に感謝!「心からありがとうございました。」
釣り吉は、思い出に浸りながら帰りの新幹線の中で笑顔で爆睡していた。
こんな私ですが北関東源流会の皆さん釣吉アマゴ(アニマル相馬)を今後とも宜しくお願いします。
それでは、源流の大イワナを求めて旅は続く・・・。

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