GW実川レポート

春の源流デビュー

渓流でいつかは大物

渓流釣りを始めて3年目、最初はただ渓魚に出会える事に感動し、山の季節を肌で感じ、渓の流れに癒され釣りの世界に魅了される。さらには尺物に出会うともっと大きい魚に出会いたいと思うようになり、北関東源流会にコンタクトをとり初参加となった。

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初めての源流、実川

どの釣り雑誌を読んでもベテランの中で限られた者しか入れない要塞のような渓。そんな厳しい環境の実川だが不思議と不安はなく期待でいっぱいだ。
集合時間は当然のように午前2時着を目指し集合する。ほぼ予定通り現地に到着するが初参加の自分を拒むかのような大雨。視界も見通しがきかず厳しい状態。こんな状態ではさすがに夜中に歩き出すのは無理と判断し無人駅で仮眠。

さあ出発だ

ま新しい70ℓのザックが肩に食い込む。想像以上に重い。ザックを背負った状態でまっすぐ歩くのも慣れるまでは大変。大丈夫と自分に言い聞かせ歩き出す。所々雪崩で埋め尽くされた林道を強い雨と雹に打たれながら湯の島小屋を目指し歩き出す。

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初物ゲットできるか

しばらく歩くと絶好のポイントが見える。渓は、おおよそ50m下。幸いにも残雪が険しい絶壁を埋め尽くしアプローチがしやすくなっている。これなら自分でも降りられる。タックルを準備し早速釣りを始める。
いつもと勝手がかなり違う。水量が圧倒的に多い。水の色も吸い込まれそうな透明度だ。渓のスケールが想像をはるかに超えているので、どこに投げ込むか戸惑いながらもみんなの釣っている様子を伺い、おおよその見当をつけて釣り始める。どのくらい釣っていたろうか、明さん、千葉さんも、当たりが全くない。大雨と雹に続き手痛い歓迎を受け、再びザックを背負い歩き出す。

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トンネルの先には・・・

途中何度か休憩を取りながらトンネルまでたどり着く。ヘッテンを準備し暗く長いトンネルを歩き出すが初めてこのトンネルを歩くと距離感と勾配の感覚が分からない。ひたすら出口を目指して歩くと曲がった先に光が見える。出口だ。トンネルを抜けると今までの風景とは様変わりし、林道が雪で覆い尽くされている。ここまで来れば湯の島小屋までもうひと踏ん張り。

待望の湯の島小屋

一歩一歩、雪で覆われた林道を歩きだし、重い足が雪にめり込んでいく。さすがに冗談でも笑えなくなってくる。もうここまできたらひたすら歩くしかない。右に左になんとかバランスを保ち歩いていると、トップの栄司さんが林道から左へ道を外した。ん、と先をみると雪の中にポツンと建っている小屋が視界に入る。湯の島小屋だ。やっと着いたぞ。すると小屋にはすでに先客が、挨拶をすませ、重いザックから解放され一息つく。

今度こそ釣ってやるぞ

千葉さんがソワソワしだした。行くかと明さんが声をかけ、三人は釣りに出かける。明さんは下流へ、そして千葉さんと自分は少し上流へ。
あこがれの源流、とりあえず千葉さんの案内で渓への下降点を探すがどこから降りたらいいか全く見当がつかないが、大物が潜んでいそうな淵が眼に止まる。落ち着いてよく見ると、降りられそうなルートを見つけ下降し、千葉さんは下の淵へ、そして自分は上の淵へ。

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実川岩魚

とにかく大物狙い。スプーンで底を叩く作戦。記念すべき1投目。ちょっとポイントを外してしまう。2投目、狙ったポイントにビシッと入る。沈み石の少し先の底から引いてジャークした瞬間、喰らいついた。走られると次が続かないので一気に勝負にでる。かなり重いが無理やり巻き上げひっぱりだすと、確実に尺はある。でかい!計測すると33cm。いいサイズだ。
初ヒットでの尺超え。このポテンシャル、さすが実川。里川の岩魚とは全く違うプロポーション、ここまで来たかいがあった。幸運にもこの淵では尺超え2匹を含む3匹を手にすることができた。

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宴会だー

小屋に戻り、楽しみにしていた夕食の準備。今回の目的の一つでもある、岩魚の刺身。味はマグロで食感は鯛。本当にそんな味わいなのかと半信半疑のまま岩魚の刺身をいただく。うんめぇー。これは、想像以上だ。この引き締まった身、最高だ。岩魚づくしの料理、そして釣り談議に酒が進み実川の夜を満喫する。

BLTサンド・アボカドディップと共に

朝食はボリュームたっぷりのBLTサンド。これがたまらなくうまい。BLTとアボカドの絶妙なマッチング、一度食べたら間違いなく病みつきになる北源会定番の一品。バランスのとれた朝食を頂き、山へ猟に出かける人と釣りをする人と別れて行動する。自分は釣りチームへ参加。

■マジですか

ポイントに到着し竿をセットしようとすると、何か変。ないないない、ないぞ。リールのハンドルがない。やってしまいました。途中に落してきてしまい釣りにならない。しかしここまできたので、とりあえずハンドルなしでスプーンを投げてみる。
ハンドルの代わりにスプールを無理やり回転させ巻き上げる。これでも水流が強いから、うまくトレースすれば喰らいつくだろうと繰り返し投げてはみたが、反応ゼロ。
明さんと千葉さんも苦戦しているようだ。自分も本来のスタイルでの釣りができないので撮影に回る事にした。その後もポイントを変え釣ってみるが、残念な事にそこでも魚の反応はなかった。この日はどうも岩魚の機嫌を損ねさせたようだ。

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至福の一時

2日目は早めに小屋に戻り、もう一つの楽しみであったドラム缶風呂に入る事に。薪をあつめ、山から倒木を引きずりだす。各々自然と作業分担をして風呂を沸かす。湯加減をたまにチェックをいれながら宴会へと突入。2日目の夜は岩魚の昆布絞めを実川の清らかな水で育んだ天然わさびを添えていただく。これがまた美味い。昆布絞めの濃厚な味わいと、
 わさびが鼻に抜ける清々しさがマジで最高。
岩魚づくしに感動し、いい感じで酔いが回ってきた頃ドラム缶風呂も丁度いい湯加減に。
この日の一番風呂は湯の島小屋で一緒になったS氏。自分が番頭になって湯加減を調整する。そして2番風呂は新人会員の自分が入らせてもらう。初めてのドラム缶風呂、なんとも言えない、いい塩梅だ。焚火で照らされ雪の中に浮かぶ湯の島小屋。その傍らのドラム缶風呂。ヘッテンを消して、夜空を見上げると満点の星空。空気が澄んでいるので手を伸ばせば届きそうだ。ここまで歩いてきた人にしか与えられないご褒美を満喫し早めに床に就く。

名残惜しいが

3日目、山を下りる日。あっと言う間の3日間だった。湯の島小屋の片づけをして、みんなでゴミを分担し車止め目指して歩き出す。辛かった林道も小屋での出来事を振り返りながら後ろ髪をひかれる思いで一歩一歩踏みしめる。一歩一歩踏みしめるたびにひかれる思いが増す…と思ったら、栄司さんがザックを引っ張っていた…。

また来ます

今回の無事と大漁を山神様に報告し実川を後にする。実川ありがとう。
そして湯の島小屋でご一緒させていただきました、S氏御一行、K&M両氏、そして地元マタギのみなさま、ありがとうございました。また実川でお会いできることを楽しみにしております。

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