北源会25周年企画第三弾

第3話 夢にまで見た魚止めの滝に挑む

文章 丹羽 秀樹

再認識

今回北関東源流会に入会して、「実川の旅」はこれで二回目の遡行です。前回は天候に恵まれず長淵までで追い帰されました。
実川の「厳しさ」少しは解っていたつもりなのですが…
やはり人を寄せ付けない、過酷な渓です。

IMGP2994.JPG

一本の電話から再び険渓に挑む

 8月16日夜、栄司さんから電話があり、「いやー丹羽君が帰った後、相馬君と40オーバーが釣れてさ~」なんて...また、あおる様なこと言うもんだから自分も帰らないで残ってればなーと、後悔してしまいました。
栄司さんが「じゃぁー19日、日帰りでまた、実川に行くか?」と誘われ、「はい」と即答!で実川の旅、決定しました。

何てコッタ!痛恨の忘れ物に困惑

19日当日「ワクワク、ドキドキ」する気持ちと共に一路、実川に向けクルマを走らせた。喜多方の市街を通過中、ラインを忘れた事に気付いた。「ヤベイッ」すかさず、栄司さんに電話を入れ相談した。
「大丈夫だー何とかなっから」の一言で気を取りなおし、先を急いだ。

先輩の教え

そして、栄司さんと合流し一路実川へ…
道中、山の事や♀の話で盛り上がり、車を走らせる。途中コンビニで栄司さんが日本酒を、自分は塩を買う事に。
ちなみにこの時、栄司さんが「日本酒飲んのだ~」と思いつつ、塩はイワナに振るものだと思っていました。
 林道を順調に車を走らせていると栄司さんが「ストップ」と車を止めました。自分は、「何でこんな所で止まるの」と思いきや栄司さんが車から降り、森の中へ入って行く。この下に山の神様が祀られてる祠があると聞き、日本酒と塩を供える。この時日本酒と塩の意味が分かりました。「安全祈願」この様な姿勢に感動!勉強になります。

究極の選択

そして夜が明け、AM4:00時。栄司さんに叩き起こされる。その時、栄司さんにイワナ「40オーバー」と「魚止め」の旅どっちが良い?と聞かれ、迷わず「魚止め」と言ってしまった。
40オーバーも魅力的だが憧れていた実川の魚止めが一目見てみたくて・・・
パッキングを済ませ、「よしゃー」気合いを入れ出陣。

いきなり実川の熱い洗礼を受ける

それから1時間後、川伝いに遡行開始です!!
自然と気持ちが高ぶり、気合いが入ります!!そして、実川本流に突入。
いきなり、首元まで水に浸かる!!! この川の過酷な洗礼を受けスタートしました。
しばらく川沿いのルートを辿り、右に松ノ木穴沢が見えてきた。栄司さんが「例年ならもっと水量があり、きわめて緊張する場所なんだよ」と教えてくれました。ひたすら魚止め目指し前進する。L字淵、入り鳥ノ子沢を横目に、順調に進む。

IMGP2785.JPG

長淵を突破せよ

そして難関の長淵到着。
自分がトップで泳ぐことになる。緊張感が走る中、「エイ!」とばかりに飛び込んだ。
しかし、長淵の滝の流れはすさまじく、強い流れに敢えなく押し戻されて行く。栄司さんのアドバイスにより、流れの状況を把握する。そして適切な指示により苦戦したが、何とか無事にクリアすることができた。

IMGP3009.JPG

話には、聞いていた巨石帯に圧倒され

ようやく長淵を超え、目の前に現れたのは話に聞く「実川の巨石群」であった。これ程大きな岩がゴロゴロしているとは、思っても見ませんでした。
次に進んでゆくと巨石帯の上流部は、渓相がガラリと変わり「すげー」の一言でした。
途中、大イワナが着きそうなポイントが有るのですが、栄司さんから「竿を出して良し」の声が掛からず、前に進むことにしました。この辺りから栄司さんがチョビ髭鬼軍曹に見えて来ました。(笑)

IMGP2886.JPG

IMGP2891.JPG

予想外の大イワナに!

そして数カ所の泳ぎ、ヘツリを繰り返して行くと「よし、ここで竿だすか」と言われ、まずは軍曹がテンカラで良型をゲットしました。さすがです。次に自分が餌釣りでトライすると、いきなり「ガツン」とあたりがきました。興奮のあまり体に震えが来ましたが息を飲んで竿先に集中しました。
「そろそろかな」と思い合わせを入れると、「ぐんぐん」引く、引く!「おーデカイ、デカイ」と軍曹の声が渓に木魂します。
格闘の末、引き寄せたところで軍曹に取り込んでもらい、大イワナを釣ることが出来ました。
「なナんと40センチオオバーのイワナです。」初めての大イワナに感動しました。

IMGP2959.JPG

IMGP2956.JPG

北関東源流会の先輩に脱帽

「もう最高です。」そんな気持ちで次のステージに突入。
そして釣りはもう満足です。目的の「魚止め」へ向け出発です。
出発していきなり難易度が増す渓相に「えーこんな所行くんですか」と思わず声が出てしまった。
自分にはだいたいのルートしか見えない。しかし、軍曹様には適格なルートが見えているようだ。
軍曹に尋ねる。「何でルート見えるんですか?」
 軍曹「何度も危険な目に遭遇して追い帰されたが、皆で何度も通い状況に合わせたルート確保が出来るようになったんだよ」と聞いた瞬間、北関東源流会の先輩方のすごさが身に染みた。

IMGP2913.JPG

IMGP2917.JPG

魚止めへの挑戦

やっとの思いで下追流沢の出合までたどり着いたが、やはり上流に行くにつれて困難になってきた。
「軍曹、あとどれくらいですか?」と尋ねると「うんーもう少しだよ!でも、ここからが厳しーんだ」と言われて唖然。
少し心が折れそうになった。
 以前、実川の魚止めの話になったときの明さんの言葉を思い出した。
「実川の魚止めは、誰もが見られるわけではない!限られた、いや、選ばれた一握りの者しか見られないんだよ」と話してくれたことを・・・。
「俺、頑張ります」と心と体に言い聞かせ、一歩踏み出した。
ここからは、泳ぎの連ちゃん。軍曹と交互に泳いで、ザイルで確保の繰り返しで進んでゆく。
魚止め付近は、滝、滝、滝、滝の連続!!!
 なぜか笑ってしまうくらいの過酷さでした。
軍曹「この淵を超えたら魚止めだぞ!よくがんばった」と言ってくれた。

IMGP2924.JPGIMGP2929.JPGIMGP2942.JPG

そして

魚止めが見えて来ました!!「こりぁすんげーカッコ良い滝です。」
滝の形と言い水量と言い、申し分ありません。
「凄いです。」初めて女体を知る位の感激です。
たまりません。そして栄司さん、いや軍曹殿に「ありがとう」と握手を求められ、ガッチリ握手。涙もんです。
「もうこの感動は一生忘れません」この日は天気に恵まれ、大イワナも釣り、魚止め制覇も出来て、おまけに帰り側にトンビ舞茸まで取ってちょー最高な気分でした。山の神様と栄司さんに感謝です。

IMGP2984.JPG

北関東源流会バンザイ

「ありがとうございました。」これからも色々連れて行って下さい。四路司苦お願いします。
追伸、栄司さんの遡行技術大変勉強になりました。
何よりも安全第一でした。源流会入れさせてもらい感激です。
山での感動や人との出会いを通じて人として成長出来ればと思います。
色々な意味で感謝の気持ちを忘れずに、これからも源流を楽しみたいと思います。
「北関東源流会最高!!!」

IMGP2986.JPG

IMGP2971.JPG

IMGP2992.JPG