ゴルジュ帯を埋め尽くす大雪渓に挑む

朝日連邦荒川源流の旅{グレード4級の渓}

朝日連邦大朝日岳(標高1870m)

に水源を発し、小国盆地に向かって南西に流れる荒川は字のごとく荒れる渓である。また、朝日・飯豊のいくつもの支流からなる大渓流でもあり、上流部は、ブナの原生林に覆われた野生の動植物の宝庫である。
今回我々は、荒川源流部で大型イワナを釣りたいとの思いを秘め、一泊二日の旅を計画した。 「車止め~角楢小屋~大玉沢出合~マス止めの滝~大帯沢出合」
久しぶりにイワナ釣りにどっぷり浸かる旅は始まった。

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大丈夫か?ETC割引!

6月28日PM9時30分何時もの集合場所で待ち合わせ。
今日は時間通り。遅れる者はいない。久しぶりの釣行に皆、気合が入っているようだ。
PM10時15分、近隣のスーパーで酒と食料を調達。堀江のワンボックスに荷物を積み込み山形へ向けて出発した。
東北道を走る事1時間、ETC割引の関係で安達太良SAにて時間をつぶすことになった。車を降りゾロゾロとトイレに向かう、用を済ませ今度は店内へ。あても無くうろつく会員達、まるで不審者の集団であるかのように・・・。
一方で堀江が、ウルトラマンの自動販売機の前で撮影に夢中になっていた。
「目が光って明るすぎ為、いい写真が撮れない」とブツクサ騒いでいる。
我が北源会メンバーの行動を見ていると、渓では凄くカッコイイ奴らだが下界の文明社会にはまったくそぐわない男達だと、つくづく感じる瞬間であった。
数分後、「そろそろ行きますか」の言葉にうなずく一同、車へ乗り込む・・・。
安達太良SAを出発してすぐにNAVIの画面を確認
「あれ、あれマズイ」
福島飯坂IC到着予定時刻が11時57分を指している。「混んでいるから大丈夫だろう!ゆっくり行くか!」と車を走らせる。ドライバーの深沢はあまり気にせずアクセルを踏む・・・高速の出口まであと500mを示す標識を通過した。・・・時間は、11時58分
「ヤバイ!12時前で降りては意味が無い?」
車はそのまま本線から出口へ進む・・・11時59分、私が「あと1分、早すぎる」と言うと全員沈黙!・・・またまた、深沢はあまり気にしていない。たまらず「もっとスピード落とせ」と叫ぶ・・・
「あと何秒」・・・
堀江が「俺の電波時計であと5秒です」と告げる。ゲートが迫りETCのバーが開く!
「ジュー12時」
全員が料金を示すパネルに注目!
「あー半額だー!」の声に全員が「良かったー!あぶない、あぶない」・・・このあと、車内には大きなタメ息が漏れていた。「やれやれ」

ネオンに誘われて!

車は福島飯坂ICで高速を降り、国道13号線にて一路、米沢を目指す。
29日深夜1:05分、山形県米沢市に突入!・・・「なんか腹減ったなー」の声に皆が反応!ドライバーの深沢が「どこか寄りましょうか」と答えると全員が賛成。
 街道沿いを見回しながら車を走らせる。明かりがついている店は、牛丼屋かハンバーグ屋しかない。深夜1:00時ではもう他の店は無理か?・・・
栄司が助手席から「繁華街に行ってみるか」と皆を励ます。クルマを方向転換させ、繁華街へ向かった。
しばらく走ると、前方右岸の方向になにやら怪しげなネオン発見!近づいて見ると深沢が「ありました台湾料理!ラーメンありそうです」の言葉にすかさず入店。全員がそれぞれラーメンを頼み、満腹状態。
堀江が浮かれた気分で「もう、飯も食べた事だし帰りますか!」などとオチャラケモードだ。こんな調子では、到着するのは何時の事やら先が思いやられる。
お腹も満たされ、その後はドライバーの栄司を残し、皆は爆睡状態であった。

先行者に挨拶!

29日早朝3時大朝日岳登山道入口の駐車場に到着。
駐車場には、すでに2台の車が駐車している。1台は福島ナンバーだ。登山者なのか?
人はのっておらず、もう1台は宇都宮ナンバー。こちらは車内に人が乗っているので声を掛けることにした。車の窓をノックし
「おはようございます。お一人ですか・・・釣りですか?」
と尋ねると薄暗い社内から頭はスキンヘッドでツルツル、身体にはモンモンが施された40代のお兄さんが顔を出した。思わず絶句!
恐る恐る色々と話をしてみると外見に反して穏やかなやさしい人であった。フーウ!
 彼は単独で上流を目指し、行けるところまで行くというので我々はその後を追うこととなった。

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ブナの原生林に包まれた登山道

早朝4時、食料や装備を分担し、各々がザックに収納「出発だー」
 歩き始めて3分後・・・1ヵ所目の吊り橋(大石橋)が現れた。一人、また一人と慎重に渡って行く。やはり前後左右にかなり揺れる。落下しないようにそれぞれが真剣な顔つきで進んでいく。全員が無事に渡り、「ホッ」とする。
 普段あまり吊り橋などに縁がないため、渡る時には緊張しスリルを味わった。
 ここから先はまだ薄暗い登山道を歩かねばならない。気合を入れてブナの原生林の中に踏み込んでいった。
この登山道は、綺麗に整備されていてあまり標高差がなく快適な道である。快調に山道を進む一行は、足も軽やかにイワナ釣りの話で盛り上がっていた。
気持ちの良い登山道である。緑、一色のトンネルの中に木洩れ日が差し込みキラキラと光が踊っているようだ!
「綺麗だ、素晴らしい!」

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二つ目の吊り橋事件

「なんてこった」
歩き始めて30分、登山道に架かる二つ目の吊り橋(白布橋)に到着。
先ほどの橋より小ぶりで危険度が増している。ここも慎重に一人ずつ渡って行く。
私が先頭で渡り、次に堀江が続き軽快な足取りで近づいてきた。         
最後の降り口に足を掛けワイヤーをくぐろうとした時、長い、長いロットケースが引っかかってしまった。
私が
竿がワイヤーに引っかかってる!
と叫ぶと堀江が
あああぁぁ〜〜!!!
と言いながらロットケースを引き寄せようとした瞬間!・・・ボキッと嫌な音が響き渡った。
二人で顔を見合わせ「まさか?おぉ、折れた」堀江があわててザックをおろし、確認する。
堀江「やぁ!やってしまった・・・2本・・・折れた」と泣きそう。
私が「マジでー、30分で終了ですか!チーン!ご愁傷様です」と言うと堀江は無言でうなだれていた。
そんなこともしらずに次々と他のメンバーが渡ってくる。
全員が吊り橋を渡り終えたところで、一息入れることにした。
 堀江が神妙な表情で肩を落としていると、その異変に千葉が気づく「堀江さん、どうかしたのですか?」と尋ねる。私は、千葉に対して「こいつ気づかなくっていいときに気づきやがって・・・」と思いながら、仕方なく「堀江さん、そこの吊り橋でワイヤーに竿を引っ掛けてポッキリいっちゃった」と話すと、全員がこの事件に飛びつき大騒ぎになった。
「堀江さん、竿折っちゃったの!」・・・その場には言葉にならない微妙な空気が漂っていた。言うまでもなく一番、ショックを受けていたのは堀江、本人であろう。悲しい!
堀江は、この日のためにストック品の中から一番良い竿を持参してきたのであった。
 気を取り直して先に進む。この辺りは深い森に覆われ心地よい風と光の空間が続く。
堀江の傷ついた心を癒してくれているかのようであった。

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角楢小屋拝見

ここまで約1時間、3つ目の吊り橋(角楢橋)に差し掛かった。なんだか見るからに傷んでいて危険な様子である。この橋は、前の2つの橋より危険度が数段上である。しかし、皆慣れた様子で次々と渡って行く。渡りきった場所からは少し急登。そろそろ休憩を取ろうと先に進んでいく。AM5:30、登りきった場所で顔を上げるとそこに角楢小屋が建っていた。ここで朝食をとることになった。
 おにぎりを片手に小屋の中を覗き込む「うーん、暗いですね!でも、いい小屋だ」
 辺りを探索し20分後、記念写真を撮り、角楢小屋を後にした。

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今日のテン場、大玉沢出合の渓の宿

少し登山道は狭くなり少々アップダウンもキツクなってきた。ブナ林の森は涼しく爽やかである。珍しく皆の表情が明るく、話が弾んでいるようだ。
いつもの移動ではこんな余裕はまったく無く、ただひたすら下を向いて歩くのみなのである。このなだらかな山道は目も心も楽しませてくれるのである。
角楢小屋より1時間、少し汗がにじんできた。相変わらず空は快晴で青一色に染まっている。「気持ちが良い」梅雨の真只中とは思えぬ天気に感謝した。
そうこうしているうちに大玉沢に到着。AM6:30ここまで約2時間30分
大玉沢出合のテン場に荷物を降ろし、釣りの準備にとりかかった。
 皆、重い荷物から解放されいよいよ今回の1番の目的「岩魚釣り」に突入!

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いよいよ釣行開始!

空は、快晴で渓は緑色にそまり水はコバルトブルーとなっている。最高の舞台だがさすがにここまで来ると水温が低く身が引き締まった。
上流を目指し川岸を歩いてゆく。いかにも釣れそうな淵が顔をだした。
先頭を行く栄司が「千葉ちゃん、釣りやってください。」と声を掛けた。
千葉がニンマリしながら竿を取り出した。一同見守る中、千葉一投目を投げた・・・「あれあれ」直接木に引っかかってしまった。一同、大爆笑!「さすが千葉ちゃんワザとなのですか?」と皆にひやかされる。
その後ルアーを投げると岩魚が追っては来るが食いがシブイ!やはり、水温が低すぎるのか?・・・。

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先に進む

やがて前方に見事な滝壺を供えるマス止めの滝が現れた。豪快に流れ落ちる水は、二段8mの滝の上部から噴出すような勢いで流れ落ちる。
その滝壺は、おおよそ30mはあろうか、大物が期待できそうな情景である。
 急いで仕掛けを準備!・・・ポイントに竿をひと振り、ふた振り、当たりなし。絶好のポイントなのだがそこには岩魚の姿がなかった。

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本流にかかる巨大な滝!

前方を見ると栄司はすでに、滝の端の岩盤を登り「あぁー」と言う間に滝のてっぺんへ到達している。他のメンバーも続けと(新巻、深沢、堀江)が登って行く。

私と千葉も「皆に遅れるな」と竿をたたんであとを追った。
滝を登ると更なる滝と大釜の淵が顔を出した。凄まじい爆音と共に大量の水が流れ落ち、辺りは水しぶきでヒンヤリとしている。
 淵から流れ出す流線を横断しようと流れに飛び込むが、以外に流れが強く慌てて前方の岩にしがみついた。「やれやれ!」そこからは慎重に岩を登る。
その後も、少し厄介なツルツル岩が連続で現れたが、何とかへつって突破する。
今度は激流を渡らなくてはならない。「皆どうやって渡ったのか?」考えてしまうような状況である。顔を引きつらせながら千葉とスクラムを組み恐る恐る流れに足を入れる。
かなりの水圧を受け、足が流れに持っていかれる。このままでは二人とも流されてしまう。 一旦、スクラムを組むのを止め、もう一度流れの状況をよく見る。
「ルートが見えた」・・今度は、私が上流に上り水の流れに乗りながら渡渉する。
流芯をさけ、勢いをつけながら流れに飛び込むのだ。運が良く浅めの底石に足がのったのだが、勢いあまってその先の浅瀬に転がり全身ずぶぬれ。・・・それを見守っていた千葉は完全に「ビビッて」いた。
その後私は千葉にお助けロープを投げ、力いっぱい引っ張りあげた。

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先行者の情報

激流を越えると渓はゴロ状の川原へと姿を変えていた。大きな岩を登り前方を見ると草むらの奥から煙が立ちのぼっていた。私が千葉に「誰かいるなー」と言うと千葉が「エぇー」と残念がっていた。
煙ののぼる方向に近づいていくと栄司が誰かと話をしている。
やはり、先行者がいたのか!メンバー一同顔を見合わせテンションが下がる。
 私が「車止めの駐車場に止まっていた福島ナンバーの車の人か?」と問いかけると皆がうつむきかげんで「違いない」とうなだれた。
 私も近づき挨拶がてら情報を聴くことにした。叔父さんは、昨日から一人で入山し、ここをベースに釣りをしていたと言う。叔父さんの情報だとここから先の雪渓がかかる場所まで釣り上がり、いい釣りが出来たと言っていた。叔父さんに礼を言い情報をもとに雪渓を目標に先を急いだ。

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大パノラマの景色に感動

 開けたゴロ状の河原を上流に向かって進んでゆくと、左右に山の稜線が見え視界の全てが青い空、緑の山、白い雪渓に覆われた大パノラマが出現した。
 なんと言う素晴らしい景色だろう!皆、口々に「すげー」の連発であった。
 栄司を先頭に堀江、私、千葉が雪渓を目指し、足早に進んでゆく。振り返ると新巻と深沢はフライロットを片手につり登るようだ。二人を残し、エンジン全開で我々も釣り登る事とした。

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釣に没頭

 やがて、いかにも釣れそうな淵が見えてきた。兄貴の栄司が私にその淵を「やれ」と手招きしているので、すかさず私が竿を出す。針に餌を付け淵の中へ餌を放り込んだ。ゆっくりと流れに乗せ竿を操る・・・下流へと流れていた糸がピタット止まった。思わず「きたー」と声を出た。同時に合わせをくれてやると竿は弓なりにしなり重さが伝わってきた。
 久しぶりに味わう手ごたえだ・・・しかし、大物ではない。すぐに竿の反発に負けスーと水面に上がって来た。25~26センチの岩魚であった。

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雪渓に埋もれた渓

ナベクラ沢出合の上部は例年大雪渓が残っているが、今年も大魔王が現れた。
 叔父さんの情報だと、この先は誰も竿を出してないと言っていた。爆釣の予感にテンションが上がる。雪渓を越えようとハリキッテ雪渓を上った。ここは、夏場でも「通らずの淵」と言われているだけに、両岸が切り立ち言わばゴルジュ地帯なのである。この雪渓は非常に厄介で危険度が高い。栄司が「俺がちょっと見てくる」と言って雪渓の先まで歩いてゆく。あちらこちら薄くなっていて危険な状態のようだ・・・。
 私が「今回は、仕方が無い、ここで止めよう!」と言うと栄司がしぶしぶ戻ってきた。
雪渓はどこまでも永遠と続いている。「サーぁどうする?」・・・少し沈黙が続いたが
私が「それじゃー雪渓の下を泳いで突破か?」と通らずの雪渓したに飛び込んでみた。しかし、あまりの冷たさに慌てて引き返す。震えが止まらず日あたりのいい場所で暖をとるありさま。栄司が崖を登り、雪渓の先を確認しに向かう・・・10分後、崖の上から罰点のサインを送ってきた。「やはり駄目か!」今日の遡行はここまでにし、テン場へと戻る事になった。「残念」

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新巻・深沢眠くってたまらん!

 ゆっくりと、川原を下って行く。やがて新巻と深沢を残してきた地点に差し掛かったが、彼等の姿がどこにもない。
4人で辺りをくまなく探していると川岸の日陰の中に横になっている二人を発見…近づいて見ると熟睡していた。無理もない、昨日から一睡もせず徹夜の遡行では眠くもなる。しかし、こんな所で昼寝しているわけにはいかないのだ!栄司が「起きろー」と叫ぶ!新巻と深沢は「気、気持ちいいーす!」と目を覚ました。
 新巻が「後を追いかけたのですが姿が見えないので、昼寝ぶっこいてました」と笑って話す。私が「上は巨大な雪渓に阻まれてとても行けない」と言うと納得した様子で新巻は「戻りましょうか」となんだか少し嬉しそうであった。

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毛虫地獄

 栄司が、「そう言えばさっきの叔父さん・・・ゼンマイ道があると言っていたな、探してみるか」と辺りを散策する。道らしい少し開けた所が沢山あるがどれも踏み跡ではないようだ。丹念に辺りを探していると、踏み跡らしき道が尾根筋から垂直にのびていた。
 私が「あった!ここだ」と合図を送り先に登って行く。しばらくのぼってゆくとゼンマイ道は不迷路となり、苦戦をよぎなくされた。
急斜面のヤブの中を草木につかまり汗だくになりながらルートを探すが、道らしき跡などどこにも見当たらない。それどころかさっきから毛虫があちらこちらに姿を見せていて最悪な状態である。
今年は東北の山渓を中心にケムシが大発生しているらしい。毛虫に注意を払いながら登ったり下ったりを繰り返す。先頭を行く私は、毛虫が大の苦手である!「駄目だ、もう渓に降りよう」と叫ぶと皆「了解」と返答・・・慌てて小沢を降り本流へと戻った。

昼寝を襲う突然の雨

やっとテン場に戻った。その足で近くの沢に冷やしておいたビールを取りに行く。
安全な遡行と晴れ渡る青空に感謝し、声高々に「乾杯―」至福の時だ「最高!」
その後は、昼飯のラーメンを作りながら酒が進んだ。
やがて疲れた身体にアルコールが回り、一人、二人とテン場に潜り込んでゆく。
全員が暗黙の了解で2・3時間の昼寝をすることになった。
2時間が経過しただろうか心地よい風に包まれながら眠っているとバラバラバチとブルーシートを雨粒がたたくビックリして目を覚ます。
テン場がざわつく「あ、雨だー!洗濯物・・・なんだョ、雨が降って、きたー」
急いで洗濯物を回収し、テン場にもぐりこんだ。やれやれ・・・すぐに雨は上がった。天候が不安定な状態である。
PM4時40分、全員で宴会の焚き木を集め準備完了!その後、私と堀江、千葉、栄司の4人で宴会と夕食の準備に、新巻と深沢は夕間詰めへ・・・。

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焚き火の宴会

 夕方の渓風に包まれながらテン場で酒をあおっていると、夕間詰めから新巻が岩魚をぶら下げ帰ってきた。メンバーより歓声が上がり手厚い出迎え、一気に場が盛り上がった。
 千葉が岩魚を手際よく3枚におろし、唐揚げの準備に取り掛かる。私は得意の岩魚のあらをベースに汁物を作る。焚き火を充実させる者、ご飯を炊く者、それぞれが自然に役割を分担して行動に移す。
 やがて深沢もテン場に戻り、今日の出来事を振り返り場が盛り上がる。至福のひとときだ。焚き火を背に宴会は深夜まで続いた。

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真夜中の豪雨

 気がつけば、全員が寝袋に潜り込み就寝していた。
 朝方になり、強風と共に強烈な雨が降り注ぐ・・・眠い眼をこすりながら取り敢えず様子を伺う。雨粒がひっきりなしにブルーシートを叩く。少し不安になるがどうすることもできない。「待機!待機!」待機するのみ出会った。
数時間が過ぎ次第に雨の勢いが弱まると共に皆、眠りについた。

嘘のような青空

明け方まで降り続いた雨が上がり、薄っすらと雲の隙間から青空が顔を出す。
今のうちにと朝食の準備に取り掛かかった。
残った酒を飲みながらゆっくりと時間が過ぎてゆく。天気に不安があるものの「やはり、山はいい」・・・朝食を済ませ、お世話になったテン場のあと片付けをすませ、再び登山道を歩きながら増水で濁った渓の流れを横目に足早に山を降りていった。

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濃い緑色に染まった森の中、後ろ髪を引かれる思いで車止めへと戻っていった。
登山道入り口の駐車場手前で記念撮影をし、朝日連邦荒川の旅は終了となった。
素晴らしき朝日連峰の渓よ!ありがとう。
今度は、釣らしてねと山の神に祈りを捧げリベンジを誓って渓を降りた。
北関東源流会の源流への旅は続く。

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  • メンバー
  • 人見栄司・新巻晃・深沢仁・千葉憲一・堀江学・人見明
  • 写真
  • 新巻・堀江・人見(栄司)・(明)
  • 文 
  • 人見 明