北関東源流会遡行記録「25周年記念特別企画」

実川溯行三部作

25年の活動を振り返って

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25年前、源流で大きなイワナを釣りたいとの強い思いを持った仲間を集い大イワナが棲息していると聞けば何所にでも足を運んだ、あのころが懐かしい。
飯豊・朝日をベースに毎週のように渓へ入っていた。
そんな中で我々を大きく成長させてくれた渓があった。それは、飯豊川本流の中流部である。そこは、断崖絶壁のゴルジュ帯があきれるほど続くまるで用水路のような渓である。圧倒的な水量に阻まれ泳ぎながら狭いゴルジュ帯を突破しようと何度も繰り返しトライした。しかし、一向に歯が立たなかった。自分達もこんなことを繰り返し行っていたら必ず死んでしまうと思うくらい過酷な状況でムチャをしていた。それから、皆で話し合い道具を揃え地元の渓でザイルワークやらトレーニングやら必要とあれば何でも実践した。また、力量を試そうと飯豊連峰の大石川西俣沢や朝日連峰の八久和川呂滝・三面川などを選択し、次々と制覇していった。これが北関東源流会の幕開けであった。
それから早いもので25年が過ぎ今では、新たなメンバー(若手)も加わり活動を継続している。「ありがたいことです」
これからも次の世代に引き継ぎ北関東源流会の火を燃やし続けて行きたいと願います。
 今後とも宜しくお願い申し上げます。
「それでは、今回の遡行記事をご覧ください。」

飯豊連邦・実川編

 飯豊山の南斜面に深く刻み込まれた谷間が、飯豊連邦を代表する険渓「実川」である。
長大な雪渓が連なる御西沢と追流沢に水源を発し、西へと流れる実川は、断崖絶壁でゴルジュ帯と巨石帯が複合する花崗岩で構成された渓である。遡行は、困難を極め真夏でも水温は低く圧倒されるほどの水量を持つ荒々しい男性的な情景を備える。そのため、容易に人が踏み込めない禁断の渓なのである。

実川への思い

我々、北関東源流会は、この25年の活動で一番足を運んだ渓それが実川である。この渓に鍛えあげられ、時には癒され共に時を過ごして来た。言わばなくてはならぬ相棒のような渓である。

夢よもう一度!

飯豊連邦の険渓として、知られる実川は、かつて大イワナの宝庫であった。
魚止めにイワナの楽園を求めて、北関東源流会の精鋭が今、渓に挑む。
遥か魚止めをめざし、大イワナに出会う旅は始まった。

魚止めは禁断の聖域

実川の魚止めは、まさに人を寄せ付けぬ禁断の聖域である。上部ダムから入渓するがいきなり圧倒されるほどの水量とその水温の低さに驚かされる。無理に遡行すればたちまち悲惨な結果となるだろう。我々も何度となく叩きのめされて来た。ある意味、非常に興味深く魅力ある渓でもあるが。
 7月~9月の入渓シーズンであっても天候が安定している日が少ない。夏はほとんど夕立に妨げられる。やはり一番怖いのが雨の増水である。荒れ狂った状態を見れば近づく気にならないだろう。
最後に今後入渓を予定されている皆様に一つだけお願いしたい。遡行中に天候が悪くなったら速やかに引き返すことをお勧めします。増水すれば渓通しの遡行は、絶対に無理と判断します。山越えのルートもお勧め出来ません。魚止め付近はテン場もなくお座りビバークとなります。また、嫌でも泳ぎが付いてまわるため低体温症には気を配り必ずザイルで確保することを提案します。安全第一で渓を楽しみましょう。

新メンバーの一言で

今回、新メンバーの丹羽くんより「俺、北関東源流会のホームグランドの実川に行きたいです。」の一言に全員一致で実川に決まった。
「そう言えば魚止めしばらく見てないよね!」と口走る。
まさか、魚止めまで行くの・・・?で旅は始まる